掛川祭(かけがわまつり)は、静岡県掛川市で十月の第二週の金、土、日曜日に行われる祭であるが、その
中で、丑、辰、未、戌年に行われる祭を、特に掛川大祭(かけがわおおまつり)といい、この場合は月曜日
までの4日間行われる。 珍しいなあと思ったのは、掛川市にある神社が同時に行われる点である(右写真−広重の掛川宿)
神社の祭礼は、普通はそれぞれの神社の行事として個別に行われる。 稀に、男宮
と女宮が同時に行われる例はあるが、掛川祭は旧掛川町と旧大池村に鎮守する七つの神社が合同して行われている。 これは
珍しい。 (右写真-彫刻が施された山車)
七つの神社は、江戸時代には掛川宿であった旧掛川町の龍尾神社、神明宮、利神社、宿場に隣接してい
た旧大池村の池辺神社、津島神社、白山神社、貴船神社である。 単に、掛川祭という場合は、掛川駅北の掛川城前で行われ
る合同の祭を指し、同日に行われる駅南地区の祭典は、駅南祭りと呼び、区別している。 掛川の屋台
は、御所車に起源する二輪形式であるが、屋上には浜床があり、跳高欄で囲まれ、各町の余興や由来にちなんだ、人形や獅子
などが飾られている (右写真)
また、屋台正面には、囃子の締太鼓を演奏するための出囃子と呼ばれる出高欄が設けられている屋台が多い。 小生の田舎の
栃木県の彫刻四輪屋台に比べると小さいが、遠州地方では他に比べて大きい、といっていた。 屋台同志がすれ違う時、
小生の田舎の栃木ではぶっつけと呼ばれるお囃子の競演が行われるが、掛川の場合は紳士的である。 囃子は一旦やめ、屋台の手木を近づけ、これから屋台がすれ違
うという確認を両町で行い、木頭と呼ばれる役員が拍子木を打つ (右写真)
続いて、屋台を通過させて、車軸がすれ違う際、無事通過したことを確認すると、また、両町の木頭が拍子木を打つ。 する
と、テンポの速い囃子を演奏する。 屋台を進め、屋台の尻がすれ違うと、三度目の拍子木が打たれると、囃子は終える。
テン
ポの速い囃子は徹花囃子と呼ばれるものである。 この儀式は手木合わせといい、狭い道を屋台がすれ違う際に、お互いが無事すれ違えま
した、と手打ちをした、道が狭い時代の風習が現代まで続いているのである。 また、獅子が登場する (右写真)
掛川祭の始まった時期ははっきりしないようであるが、宝暦年間(1751〜1763)には獅子舞が行われているというから、江戸
時代中期には行われていたのである。 この祭では、多くの人に担がれた大きな獅子の他、屋台の上に乗せられている小さな
獅子も
見た。 掛川祭が、他の祭と違うなあと思うものは、各町が手踊り(獅子の場合は舞い)を演じることである。 金〜土曜日
に、各町は、自分の町内で手踊り(獅子の場合は舞い)を披露して廻り、日曜日には掛川城のお祭り広場で、披露さ
れる (右写真)
かっぽれ、奴さん、おいとこなど、各町で演目が違うが、大祭の年だけに披露される特別な余興もある、という。
当日は、各町の法被を着用し、帯を締めて、踊りを披露していたが、大祭の特別な余興では、専用の豪華な衣裳を着て、
演じられる、と聞いた。 なにせ、多くの屋台が押し寄せるのですごい。 大祭の時に訪れてみたい、と思った。
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